東京五輪が近づくにつれ、各種目で活躍する選手のニュースが増えてきたな、と思うことはありませんか?
普段は見ない競技のニュースや大会記録など、そもそもスポーツに興味がなかったとしても、なんとなく目にする機会が多くなってきたような気がします。
そんな中、とりわけ目を引く選手がいたのでご紹介させていただきます。
玉井陸斗選手って?
(引用元:https://ytv-athlete.jp/swimming/5359)
今回ご紹介したいのは玉井陸斗(たまいりくと)選手です。
今年の4月、初めて出場した日本室内選手権の男子高飛び込みで、2位に60点以上の差をつけダントツの優勝デビューを飾った玉井選手。その実力もさることながら、驚くべきはその年齢、なんと12歳7ヶ月で現役の中学生なのです。
日本選手権でこの記録はもちろん史上最年少。まさに「超新星」のデビューですね。
1-1 玉井陸斗選手のプロフィール
兵庫県宝塚市出身、宝塚市立高司中学校の1年生の玉井選手。
所属するJSS宝塚のコーチも認める回転力と空中感覚、そして10メートルの高さを恐れない度胸を武器に、2019年4月、日本室内選手権で優勝、一躍東京オリンピック代表の最有力候補となりました。
優勝時には感涙したり、可愛らしい笑顔を見せたりとまだまだ少年のあどけなさも感じられますが、以下のインタビューではしっかりした受け答えの言葉から理知的な印象もうかがえます。
1-2 競技を始めたきっかけ
そんな玉井陸斗選手の活躍する「飛び込み」ですが、競泳やシンクロナイズド・スイミングに比べ聞き馴染みが薄いという方も多いのではないでしょうか。
玉井選手も最初は競泳を(なんと3歳から!)JSS宝塚スイミングスクールで習いはじめました。
きっかけは小学校1年生のある日、練習帰りに飛び込み体験教室のチラシをもらって帰ったときのこと。特別関心があったわけではないそうですが、母親に「やってみる?」と聞かれ、軽い気持ちで参加。
そこでプールに飛び込む気持ちよさを知ったのが最初だったようです。
1-3 玉井陸斗選手の中学校
2006年生まれの現役中学生の玉井陸斗選手ですが、飛び込み競技歴はすでに6年になるわけですよね。
地元の中学校に進学しているので、その実力を知っている友達も多いでしょう。しかしオリンピックも目指せるとあれば、まさに「ヒーロー」なのではないでしょうか。
玉井選手が通うのは宝塚市立高司中学校。調べてみたところ部活や学業などで特筆するようなところもなく、ごく普通の公立中学校といった感じでした。
類まれな才能と、優れた指導者のもとでの弛まぬ努力が彼の実力となっているのでしょう。
玉井陸斗選手のコーチ
(引用元:https://ytv-athlete.jp/swimming/5359)
では、そんな玉井陸斗選手のコーチとは一体どんな人物なのでしょうか。
現在メインで指導を行っているのは馬淵崇英コーチという方でした。
馬淵コーチは中国上海の出身で、幼い頃から体操や飛び込み競技をしていたとのことです。中国といえば体操も飛び込み競技も大変に強い国です。選手としては19歳で引退し指導者となりました。
1988年に来日し、翌年からJSS宝塚スイミングスクールのコーチとして日本人選手の指導をはじめました。1991年には競泳選手だった小学5年生の寺内健選手と出会い、飛び込み選手として指導し、1994年には寺内選手を、日本選手権で史上最年少の優勝に導いています。
その後1998年に日本に帰化、日本代表のヘッドコーチとして寺内選手と5回もオリンピックに出場しました。
そしてその寺内選手の史上最年少記録を破ったのが玉井陸斗選手です。
つまり、歴史に残る若き高飛び込み選手を2人も育てた名コーチなのです。他にも高校生でリオ五輪に出場した板橋美波選手などジュニア選手を中心に何人もの日本人選手を育成しています。
https://www.instagram.com/p/BwglrSPAk6t/
左から寺内健選手、玉井陸斗選手、馬淵崇英コーチ
玉井陸斗選手の両親
(引用元:https://ytv-athlete.jp/swimming/5359)
男子高飛び込みにおいて非凡な才能を育てた、選手としての育ての親が馬淵崇英コーチだとするなら、努力と敬意を忘れない素晴らしい少年「玉井陸斗くん」を今日も育てているご両親は一体どのような人物なのでしょう。
調べた限りではご両親に関する情報はほとんど出てきませんでした。新聞などにも出ていないので、特に有名なスポーツ選手だというわけでもなさそうです。
玉井選手のインタビューでは、飛び込み体験教室に「やってみる?」と気軽に尋ねたり、子供の興味を縛らず拾い上げる様子が垣間見えますね。
所属するJSS宝塚スイミングスクールは1歳未満の幼児から中高年まで、幅広い年代の人が通える場所のようなので、幼少期からスイミングスクールに通わせているのも、いわゆる英才教育のためというより単なる習い事のひとつとしてだったのではないでしょうか。
玉井陸斗選手の凄い筋肉
(引用元:https://www.kobe-np.co.jp/news/sports/soutai/201907/p3_0012537466.shtml)
玉井選手の活躍する高飛び込みは、5m・7.5m・10mの高さの台からプールに入水するまで、わずか2秒弱の間に空中で演技を行う競技です。勝負が決するまでの時間がもっとも短い競技と言われるのもうなずけますね。
さらに、高得点を取るためには落下中に回転やひねり、ポーズなどを組み合わせた高難易度の技を成功させ、さらに水しぶきをあげないように入水する必要があります。飛び込み競技に新体操の経験者が多いのはこのためでしょうか。
また選手の中には新体操と同じく身長が伸びすぎてしまったため成績が落ちてしまう人もいるようです。
一瞬のうちに空中で全身を操り、狂いなく着水する、そのために鍛え上げられた肉体が必要だというのは経験がなくても想像がつきます。なめらかな入水のためには贅肉なんて絶対NGですね。
これは4月の大会で優勝したときの写真ですがまさに「引き締まった肉体美」ですね。
https://t.co/H64oyEbfkX#男子高飛び込み で規格外の12歳があらわれました。21日の #日本室内選手権 で、中学1年の #玉井陸斗 選手(JSS宝塚)が初出場で初優勝を果たしました。年齢制限で世界選手権には出場できませんが、東京五輪には出場可能。どんな選手なのでしょう。(人) pic.twitter.com/GMZP6kX0th
— 朝日新聞 映像報道部 (@asahi_photo) April 21, 2019
まとめ
(引用元:https://ytv-athlete.jp/swimming/5359)
すでにシニアの国際大会や合宿などで世界を舞台に活躍しつつある玉井陸斗選手。
若いうちから注目、期待される重圧はつらいところも大きいかもしれませんが、10メートルの高所から美しく飛び込む一人の選手にそんな心配は、むしろ失礼かもしれません。
今年7月、韓国で世界選手権大会が開かれます。
玉井陸斗選手が最年少で優勝した日本選手権はそこへの代表選考会を兼ねたものでしたが、国際水泳連盟による年齢制限(12月31日時点で14歳以上)により今回出場はできません。
東京オリンピックに出場するためには、来年4月に東京で行われるワールドカップで18位以内に入ることが条件で、チャンスは1回しかありません。
13歳10ヶ月で東京オリンピックに出場できれば、1932年にロサンゼルスオリンピックで競泳男子金メダルを獲得した北村久寿雄選手の14歳10ヶ月を更新し、日本男子最年少出場となります。
年齢の記録は飛び込み競技の本質ではないですが、こんなに若くして狙えるだけの実力があるというのは非常に素晴らしいことですよね。
ついこの間まで小学生だった「少年」は、すでに「選手」として輝きはじめています。